液晶自作キットのカスタム開発とは液晶自作キットの仕様を変更することである。主に変更できるのは,(1)メイン基板に書き込まれている制御プログラム(LCDパラメータ、ファームウェア),(2)信号ケーブル(メイン基板の出力端子と液晶パネルの接続),(3)インバータ(液晶パネルのランプに電源を供給する基板ユニット)の三つの部分である。この三つの部分の仕様を変更することによって様々な液晶パネルを駆動することが可能になる。つまり,特定の液晶パネルのための専用コントローラを開発することが可能になる。
カスタマイズのイメージ
液晶のデータシートを入手する
液晶パネルの仕様書(データシート)では,入力インタフェース仕様や駆動電圧などのカスタム開発に必要なデータが記述されている。仕様書の入手はメーカーに依頼するのが一般的であるが,生産終了となった製品のデータシートはなかなか入手できないのが現実である。GoogleやYahooなどの検索ツールを利用して,その一部がダンロードできるとなっているが,すべての仕様書が見つける訳でもない。仕様書をお探しの方はDownload Engineでお試しください。
液晶自作キットを選ぶ
液晶自作キットには五つの種類がある。Aシリーズ(生産終了)は,3入力系統(VIDEO/S-VIDEO/アナログRGB)を搭載し,各コネクタが自由に配置できるのが特徴である。Bシリーズ(特注対応品)は,アナログRGB入力のみに対応し,基板が小さくてモニターの製作に最良の選択である。ISPに対応したBNシリーズは、機能的Bシリーズと同じである。Cシリーズ(特注対応品)は,Aシリーズと同じく3入力系統が搭載されているが,入出力コネクタがメイン基板に実装されているため,組み立てが一層に簡単となった。Cシリーズ(特注対応品)には,さらにアンプが搭載されている。AV機の製作に最高である。Dシリーズ(取り扱い中)では,DVI入力が加えられ,初めての4入力系統が搭載されている。基板のサイズが最も小さくなったiMO-LVDSシリーズ(取り扱い中)はLVDS液晶専用コントローラで、あらゆるLVDS液晶の駆動が可能である。iMO-LVDSシリーズの入力はアナログRGBのみとなっている。
信号ケーブルを作成する
知られている液晶パネルは少なくでも数千種があると言われている。信号入力端子の形状や仕様などがそれぞれ異なっているため,基本キットの標準付属信号ケーブルが代用できる場合があるが,代用できない液晶はほとんどである。信号ケーブルは,以下の方法で入手できる。
○完成品:
完成品の信号ケーブルを入手することができる。各シリーズの基本キット付属信号ケーブルや特定液晶パネル専用信号ケーブルの一部ははCoCoNet液晶工房や通販のAitendo's電子工房@SHOPPINGで扱っている。
○自作:
CoCoNet液晶工房や通販のAitendo's電子工房@SHOPPINGで扱っている半成品ケーブルやケーブルアセンブリを利用すれば,信号ケーブルは簡単に自作できる。
対応インバータを選択する
インバータとは直流電力を交流に変換し,液晶パネルのバックライトを駆動するデバイスである。液晶パネルに要求される出力や周波数などが異なっているため,適切なインバータの選択は重要である。インバータの選定は,一般的に以下の要素を確認することが必要である。1.出力:使用するパネルが何ワットの電力を消費するかを元に決定する。出力の値が大きくなるとより多くの機器が使用可能となりますが、同時に値段も高くなりますし、広い設置面 積も要求されます。 また必要な電力に対して過剰に大きなインバータでは、インバータ自身の電力消費のため効率が悪くなる場合がある。従って、パネルを使用出来る範囲でかつ大きすぎない出力の選択が望まれる。2.入力電圧:一般的なインバータにはDC12V、24V,48V入力の3通りがあるが,液晶自作キットは12Vのみに対応いる。
また、液晶のバックライト端子へのコネクタ形状は様々である。一般的に、1ランプ(1CCFL)の場合には、シングルBHR-02VS-1、シングルBHR-03VS-1の2種類がある。2ランプの場合には、デュアルBHR-02VS-1、デュアルBHR-03VS-1、シングルBHR-04VS-1の3種類がある。4ランプ(4CCFL)の場合には、四本のBHR-02VS-1とデュアルBHR-04VS-1の2種がある。特殊的なものを除いて一般液晶パネルに対応するインバータは通販のAitendo's電子工房@SHOPPINGより入手できる。
制御プログラムを書き換える
信号ケーブルを仕様書に書かれているピンアサイの通りで作れば必ず映ると思うのはお間違いである。メイン基板に液晶パネルを制御するための制御プログラムを書き込まないと正確に表示できない。各シリーズの基本キットでは、すでに対応制御プログラムが書き込まれている状態である。基本キットのベースでカスタマイズをする場合は、駆動対象液晶が書き込まれている制御プログラムの仕様と類似したものであるならば、制御プログラムが書き換えなくてもデフォルトの状態で表示できるケースがある。デフォルト状態で正確に表示できない場合は、制御プログラムの書き換えが必要となる。
制御プログラムの書き換えには対応書き換え装置が必要である。各シリーズに対応書き換え装置が異なる場合があるので作業前にご確認ください。AシリーズとBシリーズは、メイン基板に装着されたMCUチップを取り外して対応プログラマーで内容を書き換える。BNシリーズ、CシリーズとDシリーズでは、共通のISP対応「シリアル書き込み装置」を使うことになる。iMO-LVDSシリーズは、ISPに対応するが、専用のシリアル書き込み装置となる。各シリーズ対応書き換え装置はCoCoNet液晶工房や通販のAitendo's電子工房@SHOPPINGより入手できる。
次に必要となるのは制御プログラムファイルである。各シリーズの制御プログラムファイルの一部はDownload Engineで公開されている。液晶自作キット製品の利用者は無料ダウンロードできる。さらに多くの制御プログラムファイルを入手したいなら、製品版の制御プログラムCD-ROMを入手してください。
入手された制御プログラムは,下記のようなファイル名となっているHEXファイルもしくはTXTフォーマットのファイルである。
c_gm2221_TM150XG-26L10H
「対応シリーズ(c)→チップ型番(gm2221)→対応液晶パネルの型番(TM150XG-26L10H)」との順番で書かれている。
各シリーズの制御プログラムが専用となっているので対応しない基板に書き込むと基板に支障を与える可能性があるので十分にご注意ください。制御プログラムは通常、特定パネルのために開発されたものである,つまり、ファイル名に書かれた液晶に対応することとなっているが、そのパネルだけに限らない。信号仕様が類似した液晶にも転用できる。または、実験環境や駆動対象液晶の出荷時期などの違いがあり、書き込まれた制御プログラムでは正確に表示できない可能性も排除できないのであらかじめご了承ください。
C、DとBNシリーズ用シリアル制御プログラム書き込み装置
AとBシリーズ用制御プログラム書き込み装置(USB汎用プログラマー)
iMO-LVDS専用シリアル書き込み装置
表示実験
上記の準備や開発作業が終わったら液晶パネルの点灯実験に入る。まずは製作した液晶自作キットを組み立てする。組み立て方法は,各シリーズ製品のHTML版使用マニュアルをご参考ください。まったく映らない場合は,自作した信号ケーブルに問題があったか,選択したプログラムが対応していない可能性などが考えられる。ほかの制御プログラムで再度お試しください。一方,液晶パネルが映ったが,表示区域ずれや満足できる表示効果が得られていないなどの現象に関しては,ほかの制御プログラムをお試し頂く方法以外に,プログラムソースの修正が必要となる場合もある。プログラムソースの修正方法に関しては現段階公開しておらず有償のご依頼のみに対応する。
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